福井塾

合格に至る確かな歩みへと導く

生徒の学力の特性は実に様々です。
皆さんは自らの学力の特性、すなわち自ら得意とするところや苦手なものについて、既にご存じのことと思います。
私は実際に出会ったA、B、C、D君の紹介を通して、生徒の学力の特性を垣間見てきましたが、学力の特性について最もよく分かっているのは他ならぬその生徒自身です。
しかし、自らの苦手とするところを克服するのにどう対処してよいか分からず悩んでいるのではないでしょう
か。あるいはまた、自らの得意とするところをさらに伸ばすにはどうすればよいか分からないでいるのかも知れません。何をどう勉強すればよいのか分からず途方に暮れている科目はないでしょうか。
学力アップや志望校合格といった各人の目標を達成するためには、何が必要で何を正さなければならないか、どの学力をどの程度までどうやって伸ばさなければならないかを的確に知ることが大事です。
まずは皆さんが自らの学力特性を自己分析してみましょう。
努力して勉強した分だけ学力が身に付いていると自ら実感できるならば、その科目に関しては勉強方法が正しいと言えるでしょう。テストの結果として目に見える形で成績が上がっていなくても、学力の向上が実感できているならば、「あきらめずに努力を続けていればやがてはきっと結果となって現れる日が来るから」といった励ましの言葉も不要でしょう、それは生徒本人がそのことを一番わかっているからです。
いくら懸命に努力しても思うように成績が上がらない、学力の向上が実感できない、といった科目があるならば、できるだけ早急に対応を考える必要があります。上記で紹介したケースのように科目によっても異なりますが、どの科目の場合でも早い学年で対処する方がはるかに修正が容易でしかも効果的なのです。
鉄は熱いうちに打たねばなりません、冷め始めた鉄を打つにはより大きな力が必要でしょうし、その力をもってしてももはや名刀は叶わないでしょう。冷めきった鉄では、名刀はおろか到底並の刀にも鍛えることができません。
しかしまた、人間は単なる鉄塊ではありません。みずから奮い立ち再び熱く燃えることのできる鉄塊であります。冷めていれば冷めているほど、いっそう多くの苦痛と努力を必要としますが、それはまた再び名刀となりうべき熱き鉄塊に変じるやも知れぬ鉄塊でもあります。この熱き鉄塊を名刀に変じるには、熱き鉄塊である皆さん自身が自ら槌を握り、自らを打って鍛えねばなりません。
槌を打つ音が「トンカチ、トンカチ」と心地よく響いていれば、日々槌を打つ皆さんの努力が熱き鉄塊をして名刀へと変じさせる実りあるものであることの証しでありましょう。槌を打つ音が異音を発していれば、日々槌を打つ皆さんの努力は報われぬものとなるでしょう。
槌を打つ皆さん自身がこの異音に気づき槌の打つ手を変えることができればよいのですが、初めて槌を打つ身であってみれば異音が異音と聞こえなくても仕方ないことかも知れません。しかし、異音を発する槌を打つ手はすぐにでも止めねばならないのです、熱き鉄塊が冷めてしまわぬうちに、熱き鉄塊が異形となってしまわぬうちに。
また槌の音が異音かどうか分からぬ身であれば、槌を打つ日々の労苦に皆さんは疲れてしまうかも知れません。
槌の音の心地よい響きがいかなるものか知らぬ身であれば、槌を打つ労苦の日々に不安を募らせ、苦悩を深くする日々の中でこう自問するに違いありません。
「これまで以上の努力をこのまま続けてさえいれば、この鉄塊が名刀となる日は本当にやってくるのだろうか?」
そんなとき皆さんは熱き鉄塊を日々の労苦なく名刀に変える「魔法の槌」を求めるかもしれません。もしそのような「魔法の槌」があったなら、皆さんはやがて冷めた鉄塊をも忽ちにして名刀へと変えてしまうさらに強力な「魔法の槌」を探し求めるに違いありません。
そのような「魔法の槌」は果たしてあるのでしょうか?
努力をすることなしに手っ取り早く学問を身に付ける方法があればと願うのは現代の受験生ばかりではありません。
古代エジプトの王、プトレマイオス一世は「苦労して学ぶことなく幾何学を身に付ける方法はないのか」と、王に幾何学を講義していた数学者ユークリッドに尋ねたのでした。ユークリッドは言下にいいました。「たとえ王といえども、そのような安楽な幾何学習得の方法はありません、学問に王道なし」と。
私もユークリッドに倣って皆さんに告げねばなりません。「たとえ熱き鉄塊であっても、日々の努力なく名刀に変える『魔法の槌』などなく、冷めた鉄塊であってみれば、たとえそのような『魔法の槌』をもってしても名刀はおろか並の刀さえ鍛えることはできない」と。
私は皆さんに、ありもしない「魔法の槌」を差し上げることはできませんが、日々槌を打つ皆さんの努力が熱き鉄塊をして名刀へと変じさせる実りあるものになるように導きたいと思うのです。槌を打つ音が異音を発していれば、その槌が「トンカチ、トンカチ」と心地よく響くように槌の打ち方を指導いたします。また皆さんが手にしている槌が、打っても打っても熱き鉄塊を鍛えることのできない「偽物の槌」でないかを点検し、打てば打つほどに熱き鉄塊を名刀に鍛えることができる「本物の槌」を皆さんが手にするよう指導します。
しかしながら、日々槌を打つ皆さん自身の努力がなければ、そして何よりも鉄塊が熱く燃えているのでなければ、いかなる「本物の槌」を手にしたとしても、鉄塊を名刀に鍛えることは叶わない、と言っておかねばなりません。
自ら燃え上がる熱き鉄塊に出会えることを楽しみにしております。
そして、この熱き鉄塊にとって、自ら槌を手にして自ら槌を打つことが、もはや労苦ではなくてむしろ大きな喜びとなることを願うものであります。